2005/09/18 剱岳 早月尾根 日帰り
2年前の9月、ダイエットのために思いつきでいきなり剱岳登山を決行したのでした。 それが私の本格的な初登山で、かなりしんどい思いもしたのですが、達成した時の 喜びは大きく、また登りたいなぁ・・・と思うようになったのでした。 私はこれまでは一回しか登ったことがなかったのですが、時期的には9月後半から 10月初旬あたりが一番初心者向けのシーズンだと思い、今年も挑戦してきました。 今回も前と同じ早月尾根コース。日帰りで山頂を極めることはかなりハード なのですが、私は登山を楽しむために行っているのではなく、体力と根性を 試すために行っている(笑)ので、日帰りでないと意味がないんです。標高2200m まで交通機関を利用して行ける立山室堂から登るコースではなく、標高760mから 登り始める早月尾根コースでないとだめなんです。 登ろうと思い立ったのが前日の夜遅く。相変わらず行き当たりばったりの私 ですが、無事に山頂まで行って帰ってくることができました。(^-^) 往復16.6km、標高差2239mの登山の様子をどうぞご覧ください。 |
2年前は寝坊して帰りが真っ暗だったので、 今年こそはと気合いを入れて目覚まし時計を セット。(笑) 写真は早月尾根の剱岳登山口がある富山県 上市町の馬場島(ばんばじま)と言うところへ 続く一本道。 正面に見える山が剱岳です。 朝5:50:頃撮影。 |
ここが馬場島にある剱岳登山口。 馬場島へ行く道は一本しかなく、ここが終点で 奥には工事車両しか行けないので初めて来る 人でも簡単に見つけることができると思います。 写真右手の川沿いにはキャンプ場があります。 この石碑の小さな文字は 「早月尾根を経て」と書いてあります。 |
上の石碑の左の方へ進んでいくと、登山口に また石碑が立っています。 この画像で文字が読めるかな・・・ |
6:10 登山開始。 標高が低いうちは杉の大木が多く、写真の ように根が張り巡らされていて歩きにくいです。 登山する人ならみんな準備はしているで しょうが、底の堅い靴でないとしんどいです。 |
ここは標高1000m地点。写真右に小さく 写っている白く光っているのが1000mの 標識。ここから先は標高200mごとに標識が 設置されていて、時間や距離の目安に なります。 |
これも前回同じ写真を撮ったなぁ・・・(笑) 大きく口を開けて襲ってきそうな杉。 何本もの木が合体したのかな。 |
登山口から山頂まで、2200m以上もの標高差を イッキに駆け上がるので、登山道にも急斜面の ところが多いです。 早月尾根から登る人はほとんどが早月小屋で 一泊、あるいは帰りも泊まって2泊で登る のですが、日帰りにしても泊まりにしても、 朝5時から7時くらいに登り始める人が多いようで。 |
道中にはこんなところもありますが、 これは序の口。(笑) |
早月尾根、山の北側から南へ向いてずっと 登っていくのですが、午前10時くらいまでは ずっと山の陰でほとんど陽の光が当たり ません。登山はとっても汗をかくので、涼しい のはとても助かります。 たまには写真のように平らなところもあります。 ほんの一部だけですが。 |
結構急でしょ。 こんなところもたくさんあります。 でも山頂付近はまだまだハード。 |
標高が上がるに連れてだんだん岩がゴツゴツ してくるように。 ここはロープを掴んで登っていきます。 |
標高2000m付近から見た 剱岳山頂方向。 下界は晴れていますが、 標高が上がると雲の中へ 入っているような感じ。 |
ここが標高2200mにある早月小屋です。 私は山小屋には泊まったことがないのですが、 シーズン中は部屋に泊まりきれず、食堂や 廊下に寝てもらうこともあるようです。 一泊二食で8500円くらいだったかな。 素泊まりで5350円だったか・・・ 記憶が定かではありませんがだいたいこんな もんだったかと。テントサイトは500円です。 雨水利用で物資も非常に限られているので、 ここを利用する人は必ず予約をしてくださいね。 水やお茶、缶ビールは予約していなくても 誰でも買うことができます。 ただしとっても高いです。(笑) |
早月尾根にはここにしか山小屋がないので、 ほとんどの人はここを利用するように 思います。 ちなみに今日早月尾根コースを日帰りで 山頂まで往復した人は私を含めて4名でした。 泊まった人の数はなんとなく推測ですが、30人 くらいなんじゃないかなぁ・・・ 前回登山した時は馬場島からここまで3時間 20分で来たのですが、今回は2時間40分と 大幅な時間短縮。(^_^)V ピース 前回よりも体重が5キロ減っていることが 幸いしたか・・・(笑) 登山用の地図に書かれている参考タイムは 4時間40分です。 |
早月小屋のすぐそばにある標識。 この日、下界は30度まで気温が上がった ようですが、標高2200mのここまで来ると、 じっとしていればかなり寒いです。 これくらいの高さになると大きな木が なくなって来ますね。 |
早月小屋より先は、写真のように見通しが よいルートになります。 ここは標高2300mくらいかな。 |
標高約2300mくらいから見た早月小屋。 写真の真ん中あたりに向こうの方へ延びている 白いところが早月川で、北の方向を向いて 撮った写真。ずっと向こうは日本海です。 |
雲が目の高さあたりに見えるようになると 「だいぶ高いところまで来たなぁ」 と言う実感が湧いてきます。 稜線がギザギザなのがこのあたりの特徴。 |
早月尾根コース、その名のとおり尾根づたいに 登っていくので基本的には登山道の左右両側 とも谷へ向かって落ちているのですが、 早月小屋より先は 「転がり落ちたら果てしなく止まらないだろう なぁ・・・」 と言うような怖いところがたくさん出てきます。 |
標高2400mあたりで見かけた植物。 高山植物だと思うのですが、私は名前を 知りません。(;^_^A アセアセ 食べられそうな気もしますが・・・ |
ここも落ちたら止まらない。(笑) 谷底に吸い込まれそうです。 |
標高が上がるに連れて岩ばかり目立つように なってきます。ここは最初の鎖場。 標高2700mくらいでしょうか。 エアーズロック登山を思い出しました。(笑) |
上の方は写真のように細いルートが多く、 足を踏み外して転落したら本当に止まらない と思うので、慎重に登らなければなりません。 |
標高2800mの標識を越え、さらに登っていくと このような鎖場が連続して出てきます。 たぶん2900mあたりかと。 ここまで来たら山頂まであと少し。 ちなみに山頂は標高2999m。 左側はほぼ絶壁なので、鎖の握る手にも 力が入ります。 |
私だけかもしれませんが、空気が薄く なることによって脳の活動が100パーセントで なくなってきたのか、標高2400mあたりから ここまでの間に、ほんの一瞬クラクラっと めまいが・・・ということが数回。 足場が非常に悪いので、一歩一歩足をかける ところをしっかり確かめて歩くのですが、 その岩に足をかけたつもりがちゃんとかかって いなくてズルッ なんてこともありました。 気をつけなければ。 |
この鎖場、結構長いです。 このへんまで来ると、相当体力を消耗して 疲れているので、鎖場は結構辛い・・・ 剱岳、今年は夏だけで4名の方が命を 落とされています。 ちょうどこの当たりでも今年の8/28に男性が 亡くなられたようで・・・ |
これは真下の足下を向いて撮った写真。 足をかけられる幅がほとんどないので とっても危ないです。ここで手を滑らせて鎖を 放したらもうアウトでしょう。 写真を撮るのもヒヤヒヤもん。(笑) |
山頂付近まで来ると、どこがルートだか わからなくなってくるので、所々に写真の ような白ペンキのペイントがしてあります。 剱・立山連峰、日本一かと思われるくらい 豪雪地帯なのですが、厳冬期には山頂まで 真っ白になる周辺の山とは違って剱岳だけは 真冬でも山頂付近が黒く見えます。 あまりにも急峻な岩山なので、雪も積もれない ほどと言うわけです。 |
山頂付近までくると登山道を歩くと言うよりも ロッククライミングをしているのかしら・・・ と思うかも。(笑) 両手両足をしっかり使わないと登れない ところもたくさんあります。 手袋は必須です。もちろん私も持っていきました。 |
ようやく山頂。馬場島から5時間15分。 前回は6時間10分かかっているので だいぶパワーアップしました。(笑) 看板には2998mと書いてありますが、今年 だったかしら、何十年ぶりかに測量をやり なおして2999mに訂正されました。 気温10度くらいでは・・・と思うほどものすご〜く 寒いのですが、登り立てで汗だくなので、 まだ体がほてっています。 |
この日は翌日が祝日で休みと言うのもあって、 前回よりは人がたくさんいました。 山頂には30人くらいいたかなぁ・・・ 2年前に登った時は、日没までの時間にあまり 余裕がなかったので15分くらいしか休まずに すぐに下山したのですが、今回はゆっくり50 分間ほど山頂を堪能していました。 |
一般登山者が登って来るルート以外にも剱岳に アプローチするルートもあるようですが、 今回のルートとは比較にならないくらい もっともっと危険なのでかなり上級の登山家 でないと通れないようです。 |
9月だと言うのにまだ雪が残っていました。 今の時期にこれだけ残っているんですから これは万年雪ですね。 |
剱岳の山頂から登ってきた方向を向いて 撮った写真。山頂の直前で早月尾根コースと 雷鳥沢から室堂へのコースが合流。 |
山頂に着いた時は雲の中であまり見通しがきかなかったのですが、50分ほどの滞在の間に ちらっとだけ晴れ間が見えた時がありました。 剱岳山頂から北方稜線方向の写真。 稜線がギザギザで非常に困難なルートのようです。 もちろん一般登山者は通行禁止。 |
一般登山者は禁止と書いてありますが、 インターネットで調べてみると、北方稜線ルート を通ってきた登山者のページもちらほら。 すごい人達がいるんですね。 今回で登山ようやく2回目、しかも2年ぶりと 言う私には絶対に踏破できそうにない ルートです。命が惜しいので行きません。(笑) |
下山開始、登ってくる時は霧がかかっていた 鎖場でしたが、晴れていたのでもう一度 撮影。やっぱり何度みても危険そうですね。 |
登る時も後ろを振り返ってずっと思っていたの ですが、尾根の右側(北側)には厚い雲が 渦を巻いているのに左側(南側)にはまったく 雲がありません。写真では表現できませんが、 ホントに尾根のところで白い水上気が激しく 対流していてとても不思議な光景でした。 まるで目には見えない壁があるよう。 |
標高2600付近だったか、なんとラッキーな ことに特別天然記念物の雷鳥のファミリーに 会えました。\(^o^)/ワーイ こんなに近くに寄るまで逃げていかないんです。 左がお父さん、真ん中が子供、右がお母さん のようです。(多分・・・) |
彼らももちろん私の気配を感じてはいるの ですが、こんなに近づいてもあわてて逃げる そぶりもなくて・・・ でも雷鳥ファミリーがいるところを通らなければ 下山できないので、申し訳ないですが、 進ませていただきますよ〜 ((^^)) ユルシテチョンマゲ 冬毛の真っ白な雷鳥は見たことがあるの ですが、写真のような夏毛の雷鳥は初めて 見ました。 保護色ですが3羽いるのが わかりますか? |
私が一歩前へ出ると、ようやく動いてくれ ました。まずはパパと思われる雷鳥(一番左) が先に草木の中へトコトコと。 |
続いてママさん雷鳥がパパに続いて草木の 中へ、そして最後にお子ちゃま雷鳥がママの 後を追うって感じです。 お子ちゃま、この急斜面をパパやママみたいに 簡単に上れず、何度も滑って転がってました。 (笑) |
ここで雷鳥ファミリーの様子を・・・ パパ雷鳥:おや、人間がやってきたぞ、しかしなんで人間ってこんな 高いところへ来るのにずっと地べた這って来るんかねぇ、 飛んでくりゃ早いのに・・・ おまえ達や、こっちへ逃げるぞ、着いてこいよ〜 と1人で先に草木の陰へ消えていったパパ雷鳥であった。 そして残った2人は・・・ ママ雷鳥:パパはいっつも先々行っちゃうんだから・・・ ほら坊や、一緒に着いて来なさいよ。 坊や雷鳥:ママ〜 待ってよ〜 ここでママ雷鳥もパパと同じように山肌を駆け上がっていく。 そして坊や雷鳥も同じように駆け上がって行こうとするが、 足下がおぼつかないのか、急な山肌で何回も転げ落ちて・・・ 坊や雷鳥:(;>_<;)ビェェン 上れないよ〜 待ってよ〜 僕だけおいて行かないでよ〜 (T^T) ママ雷鳥:何言ってるの、これくらい1人でできないと、一人前の 立派な雷鳥になれませんよ、ほら、頑張って。 坊や雷鳥:よいしょっ こらしょっ あっ やっと上れたよ〜(^-^) ママ雷鳥:そうそう、頑張ればできるじゃない。(^-^) さ、パパも行ったし、私達も行きましょ。 ってな感じでした。(笑) かわいいですね。(^-^) |
また尾根付近の雲の様子。 尾根を境にピタッと雲が遮られるんですねぇ。 やっぱり見えない壁があるようです。(笑) |
早月小屋まで下りてきました。帰りの行程の 標高だけでみると、ここで3分の1戻ってきた 感じです。 山小屋のご主人とオクサマ。今年で山を下りる と聞いたので、記念に一緒に撮らせていただき ました。 ここで汗だくだったTシャツを着替えました。 |
早月小屋から馬場島までの標高差は1440m あるのですが、イッキに下りてきました。 ここは馬場島の登山道入口にある石碑 「試練と憧れ」 ここで記念撮影する人が多いんです。 ここへ着いたのが16:50。前回は往復11時間 20分でしたが、今回は10時間40分。(^-^) 足の痛みも前回ほどじゃないのは、やはり 5キロの体重減の効果が大きそうです。 |
区 間 | 2005/9/18 | 2003/9/15 | 地図に載っている 参考タイム |
馬場島〜早月小屋 | 2時間40分 | 3時間20分 | 4時間40分 |
早月小屋〜剱岳山頂 | 2時間25分 | 2時間50分 | 3時間30分 |
参考タイムは昭文社の地図を引用しました。 @国内登山者の平均的年齢の40〜50代 A2〜5人程度のグループ B10kg未満の荷物 C晴天時 D休憩時間は含まない を基準に設定されたタイムとなってます。 私は日帰りで軽装であり、ほとんど休憩をしていないので、 かなり早いペースで登っていますが、1人だけ私を抜かして行った人が いました。その人は馬場島から早月小屋まで2時間10分、山頂まで でも4時間かかっていないと言う驚異的なスピード。 w(゜o゜)wワオ!! スゴイ人がいるもんですね・・・ 2年前に登った時と比べて今回はスピードアップしました。(^-^) 今年36歳、もう老化が始まっていると思っていましたが、もう 少し行けるかなぁ・・・(笑) でも年齢のことを思うと、この先今回を上回るタイムが出ることは もう一生なさそうな気もします・・・ |
標 高 | 時 刻 | 標 高 | 時 刻 | |
馬場島760m | 06:10 | 山頂 2999m |
12:15 | |
1000m | 06:30 | 2800m | 12:45 | |
1200m | 06:55 | 2600m | 13:15 | |
1400m | 07:20 | 2400m | 13:45 | |
1600m | 07:30 | 2200m | 14:10 | |
1800m | 07:50 | 2000m | 14:50 | |
2000m | 08:20 | 1800m | 15:15 | |
2200m | 08:50 | 1600m | 15:30 | |
2400m | 09:30 | 1400m | 15:40 | |
2600m | 10:05 | 1200m | 16:00 | |
2800m | 10:45 | 1000m | 16:25 | |
山頂 2999m |
11:25 | 馬場島760m | 16:50 |
持ち物 | デイバッグ(リュックサック)、スポーツ飲料2リットル、お茶1リットル ロールパン4個、おにぎり2個、栄養補給ゼリー2個、地図、懐中電灯、 Tシャツの着替え、薄手の防寒着、タオル、ティッシュペーパー、手袋、 カメラ(デジカメ)、携帯電話。 |
ROOKIEより | 持っていけばよかったぁ・・・と後で思ったのが食塩。ものすごくたくさん 汗をかくので、水やお茶などの水分補給だけではかなり疲れます。 私は仕事でもたくさん汗をかくのですが、夏場はホントに食塩を たまに舐めています。 スポーツドリンクもいいのですが、体液よりも濃いのと、糖分もかなり 多いので、スポーツドリンクと水かお茶を同じくらいの量に分散して 持っていくことをおすすめします。 前回も今回も往復ともにものすごく汗をかくのでTシャツ一枚で十分 過ごせましたが、標高が上がるに連れて気温もどんどん低くなって行き、 早月小屋あたりでもう震えるくらいになるので、休憩をノンビリ取る つもりならば、着替えと防寒着を充実させた方がいいと思います。 山頂付近になると、両手両足を使わないと上れない岩場や鎖場が たくさん出てくるので手袋は必須。 道中水場はまったくありませんが、早月小屋で缶ビールや水、お茶 などを買うことはできます。(とっても高いです・・・) 膝への負担を軽くするためには杖が非常に有効。スキーのストックを 使っている人がたくさんいました。足に自信がある人には必要 ないかもしれません。 早月小屋より上は足場が悪く、非常に危険な箇所が多いです。 山頂付近の鎖場は、そこへたどり着くまでにものすごく体力を消耗 して疲れきっているので大変辛いです。 夏でも遭難者や死者が出ている山ですから、気合いと根性と体力 だけでなんとかなるだろうなんて思って登ることはおすすめできません。 疲れたり関節が痛くなったりと体に不具合が出てきたら素直に 下山しましょう。 |