26. アデレード
Adelaide




ロングラン

 前回の続きから・・・

板さん、虎ちゃん達と会ったナラボーの国道1号線のロードハウスからはアデレードまで約1100km。

ずっと舗装道路なので何もトラブルさえなければ2日で着くだろう。

平均して一日550kmというのは結構な距離なので少しでも初日のうちに距離を稼いでおこうと前日の

うちは思っていたが、結局ナラボーのキャラバンパークではのんびり朝を過ごし、10:00出発。

チャリダーの虎ちゃんにエールを送ってここで別れる。

それにしても自転車とは・・・根性根性ど根性ってところやろうなぁ。


ナラボー C.P.出発前
国道1号線のナラボーのキャラバンパークで。
撮影者 虎ちゃん。
朝を迎えて出発の身支度を整えている
板さん(手前)とROOKIE。
ロードハウスの裏のキャンプ場だったので、
朝食は簡単に調達できた。

オーストラリアはどこへ行っても太陽がまぶしい。







 自分のバイクは600cc、板さんのバイクは650cc。オフロードバイクのツーリングライダーと

しては十分な排気量である。時速100キロでの巡航も楽勝なはず。しかし板さんも僕も、

バイクを労ってか、はたまたスピードが速いと疲れるせいか普段は80km/h 巡航をしていた。

今日は気分が乗っていたのか、110km/hで流そうということに。

150km走るごとに小休止し、観光するところも何もない1号線をひたすら走り続け、今日はなんと

走行630km、朝が遅かったわりにはよく走った。

AUSの国道は、ほとんど直線ばかりだし、他に車もほとんどないのでずーっと高速道路を走っている

ようなもの、景色が極めて単調なのでバイクですら居眠り運転をしてしまいそうになる。

ロードハウスでテントを張って泊まった。

翌朝、今日の目的地はアデレード。板さんとROOKIEの2人は、ナラボーレールウェイルートに挑戦

するために、バイクの軽量化としてカルグーリーからアデレードG.P.O宛にたくさん荷物を送っている。

G.P.Oは夕方5時までなので、それまでに着かなければいけないということでこの日の朝は

早めの7:20に出発した。

アデレードも近くなってきたポートオーガスタのロードハウスでペトロを給油していると、

以前にも会ったことがある、ゆみちゃんとホンダくんとばったり。

みんなそろってアデレードまで行って、同じバックパッカーズに泊まろうということに。



久々の大都会

アデレードの夜景
アデレードの夜景。
オーストラリアではこういう景色は珍しい。
ツーリング日記の最初のページにも
ブリスベンの夜景の写真が載っていたなぁ。

バックパッカーズで仲良くなった仲間達と
一緒に夜のドライブ。
旅人には車でラウンドしている者もいる。







 アデレードはサウスオーストラリア州の州都である。前に寄った州都はウェスタンオーストラリア州の

パースだから実に3000kmも離れていて久しぶりの大都会だ。

日本風に言うと小京都と言った感じで、昔ながらの建物がたくさん残っている。

オーストラリアでも有数のワインの産地でもある。

州をまたいでオーストラリアを長期間旅している者にとっては、大都会と言うのは1泊だけでなく、

数日間、あるいは1週間以上も連泊してのんびり過ごすところ。

このアデレードも例外ではない。多くの旅人が集まっているキャラバンパークがあった。

そういう情報は旅をしていると旅人から旅人へと自然に伝わってくるもので、今回はたまたま

さっき一緒になったゆみちゃん達が、旅人が集まるバックパッカーズのことを知っていたので

そのまま便乗することにした。

 アデレードのバックパッカーズには予想どおり、旅人(日本人が多い)がたくさん泊まっていた。

オーストラリアの旅も後半になってくると、全土をまたいで旅している友達が何人もできてくる。

国土がとてつもなく広いわりには人間が行けるような所はごく限られているので、そういう

友達と再会することが多いのだ。このアデレードのバックパッカーズにも例外に漏れず、

旅仲間が数名。久しぶりの再会を喜ぶ。



ワイナリーで日中は車でラウンドしている旅仲間の車に
みんなで乗り合わせてアデレード観光。

ワインで有名な街ということで早速ワイナリーに
行ってみた。

オーストラリアには小さい農場のような
ワイナリーがいくつもあって、どこも試飲させて
もらえる。
日本のワイン工場の見学とは違って他の
お客さんと会うことはめったになかった。




 車でラウンドしている旅仲間の紹介をしよう。

アメリカのフォード社のファルコンという排気量4リッター以上もあるおおきなワゴン車に

2人で乗り合わせてシドニーを起点に旅をしている大阪出身の若者がいた。

初めて会ったのはオーストラリア西海岸の街モンキーマイア。(エクソマス〜パース参照)

キャラバンパークに泊まっているところへ深夜になってやってきて話しかけてきた。

彼らは最初、奇抜なヘアースタイルをしているMAKOさんを見て、

「うわっ なんかやばそうな奴らに声かけてもうたなぁ・・・」と焦っていたらしい。(笑)

そんな彼らとはパースでも一緒になり、同じ宿に泊まって毎日のように一緒に遊んでいた。

そしてアデレードでまた再会したと言うわけ。

車の整備の知識に詳しいトモミくんと、英語がとても達者なだいちゃんのコンビは過酷な

状況のアウトバックを車で旅するのにはまさに名コンビ。

日本に帰ったらまた会おうぜっ!!

アデレードのバックパッカーズ前で。
出発するROOKIEを見送りにみんな出てきてくれた。
この写真を撮ってからもう9年の月日が経つ。
みんな今頃どこで何をしているのだろう・・・

上記の車の2人組みと、ナラボーから一緒の
板さんは今でも交流がある。

悲しいことにこの写真を撮る時に自分でカメラを
落としてしまい、レンズが壊れてしまった。
そのまま無理矢理使い続けたが・・・





 アデレードでの数日は、楽しいものばかりだったが、夜にベッドに入ると気持ちは違った。

「もう4ヶ月も旅を続けているが、仲間達と一緒に楽しく過ごせる夜は今日が最後だろうなぁ、
 
 シドニーまではあと数日で着く、その間に旅人が集まるような大きな街はない・・・」

パースを出る時も「あぁ 旅もいよいよ終盤かぁ・・・」と妙に寂しかったが、アデレードまで

来ると本当にもうすぐ終わりである。またこれまであったような冒険的なところもなく、

すべて国道で整備された道で走って行くだけだ。 今までのことが走馬燈のように思い

出される、旅が終わりに近づくにつれてそういう悲しさというか寂しさが強くなってきた。

そういう時にいつも思うのが「もともと一人旅やから・・・」

アデレードのバックパッカーズを出発する朝、みんなのリクエストで落語を一席披露した。

旅先で初めて落語を披露したのはケープヨーク。よっぽど珍しく思われたのかインパクトが

強かったのかそれ以降、「落語やるライダーがいるらしいぞ」と言う噂がたちまち旅人の間に

伝わっていった。見知らぬ人から「あなたが落語ライダーのROOKIEさんですか、 いやぁ

いっぺん聞いてみたかったんですよ」
と言われたこともしばしば。

ブルームでもやったなぁ・・・バイクに「落語」って書き始めたのもあのころか・・・

などといろいろ思い出しながら一席。おそらく旅先での落語はこれが最後になるやろうなぁ。

たくさんの思い出を背負って、アデレードを後にした。



  次はツーリング日記、道中最後の章 キャンベラです。お楽しみに

ツーリング写真館もどうぞご覧ください

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