ここのゴージツアはオーストラリアを1周してきた中でも一番楽しいところでした。
デイブオジサンが一人でユースホステルを切り盛りしていましたが、あれから8年、
もうかなりおじいさんになったやろうなぁ・・・
今でも「デイブのゴージツアー」はやっているのだろうか。
ケープヨークみたいな苦しかったところもあれば、このツアーのように最高に楽しいところもある。
毎日が新鮮で初めて見る物、初めての体験など変化に富んだ日々。
さて、次の旅へまいりましょうか。
先人の後を行く
楽しかったWittenoom を出発、さらに西へ向かいインド洋を目指す。
しばらく未舗装の道が続いていたので、各バイクの車間距離を1キロ近くあけて、前車の砂埃を
吸わないように走る。すると前方からロードトレインが!!
何十本ものタイヤで土煙を巻き上げながら走るロードトレイン、一瞬にして前方が全く見えなく
なってしまった。こういう時はすぐさまエンジンをストップする。
そうしないと砂埃を吸い込んでエアークリーナーがあっという間につまってしまうから。
1号線に出てきた、次に向かう町はExmouth ずっと舗装道路で行くのなら、かなり遠回りになるが
1号線をしばらく南下し、右に分岐した後にまた北上を続ける。
しかし地図にはしっかりとショートカットする道も載っていてどう見てもそちらの方が近い。
(図中の青い線の中)
このショートカットコース、日本人ライダーの間では「カンナミユキストックルート」と呼ばれている道だ。
僕達がオーストラリアに行く何年か前、カンナミユキと言う女性ライダーがここをバイクで走り、
そのコースのすさまじさを書いた文章がワーキングホリデーのガイド本に載っている。
その事からバイク乗りの間では、この道をカンナミユキストックルートと呼ぶようになった。
オーストラリア西北端部の拡大地図。
地図中の青い線の中が
「カンナミユキストックルート」
紫色の線の中は
「オートモルーキーストックルート」
(勝手にそう名付けた)
カンナミユキストックルートの出口。
この写真で見る限りでは、フラットダートで
かなり上々のコンディションのようだが・・・
なんにもない、どこまでも変わらない
景色の中、地平線へ向かって走る。
アクセルを握りしめて・・・
一足先に出口で待っていると、続いてNOBU
さんがやってきた。
(写真に小さく写っているのがNOBUさん)
さていよいよカンナミユキの入口だ。入口に立つ標識には多くの日本人ライダーが挑戦したのか
書き残していったメッセージが残っている。
「カンナミユキ完走、42分だ〜」
などなど。
例によって未舗装路なのでみんなで話して車間を大きくあけて走ることに。(数キロほど)
出口までは85kmなので、一気に走り抜け出口で待ち合わせすることにした。
1番手はMAKOさん、そしてエグッチャン、ROOKIE、NOBUさんの順だ。(記憶があいまいだが)
カンナミユキさんが走った時からもう何年も経っているせいか、当時のような険しさはまったくなく、
超フラットダートでまるで舗装道路の上を走っているよう。
今までで最高の時速140キロも記録したほど、未舗装路で時速140キロなんてまさに初体験だった。
ちょっと石でも踏んで吹っ飛んだらちょっとやそっとの事ではすまない、今思うと無事でよかったよ。
平均して時速120キロくらいで巡航し、あっという間に85kmを走り終えた。
タイムをみたら45分かかっている、「あぁ〜 3分負けたなぁ・・・」 なんて思ったり。(笑)
出口で待っていると後続のライダーも無事到着した。
「なぁんだ、思ってたよりも楽勝じゃ〜ん」 とみんなで話す。
西海岸へ
オーストラリアの東海岸にあるシドニーを出発したのは8/9、そして今日は10/31。
もう16000kmくらい走ったか、ついに西海岸までやってきた。
このExmouth ブルームと同じインド洋に面している町だが、エメラルドグリーンだったブルームの
海と違い、とっても濃い真っ青だった。
お昼頃着いたら、ブルームのキャンプ場で一緒だったバスでのツーリストが出迎えてくれる。
そしてザルを乗せて走っていたコージ君も到着、またまた大集合となる。
自転車をレンタルしてみんなで競争してビーチへ、
シュノーケリングセットを借りて潜ってみた、貝を拾ってぶつけ合い、割って中身を出すと
魚がいっぱい集まってくる。熱帯魚でもないだろうが、色とりどりのキレイな魚。
釣りが好きなMAKOさんやNOBUさんに連れられてみんなで釣りをし、その魚を晩ご飯にして食べる。
ギターを持って旅している人がいたのでちょっとお借りして弾いてみる。長渕剛の「夏祭り」
あぁ なんて楽しい日々だろう。
たったの140kmのはずが・・・
Exmouth を出発する、いつもだったら毎日300〜500kmくらい走るところだが、140km南へ行った
Coral Bay (コーラルベイ)も海がとってもキレイだというので、本日の目的地はそこに決定。
140kmなら普通に走れば2時間弱、あまりにも楽勝なのでちょっと違うルートでコーラルベイを
目指すことにしてみた。これに賛同したのはエグッチャン。MAKOやんはこのExmouth
から
コージ君と変わってザルを乗せて走ることになったので、無難に通常ルートでコーラルベイを
目指すと言う、NOBUさんもそっちのコース、エグッチャンとROOKIEの2人で海側の道を
走って行くことになった。
「じゃぁコーラルベイのキャラバンパークで待ち合わせね。」
上の拡大地図で見るとMAKOさん達は赤い太い線のルートをまっすぐ南下、僕とエグッチャンは
海岸沿いに点線で書いてあるあやしげなルートで南下。しかしよく見るとこの点線、
途中で途切れている、大丈夫だろうか・・・
Exmouth を出てすぐに道があやしくなってきた、「ほんまにこれで行けるんやろか?」
しかし、一応道のような物はあるし、とにかく海沿いに南下しさえすればコーラルベイには着く
はずなので、そのまま2人で南下を続ける。
道がなくなったり現れたり。海から遠ざかるとどっちを向いているかわからなくなりそうなので
太陽を見て方角を確認したり・・・
あまりにもの悪路でついに転倒した。体が前に投げ出され、灌木の草木をバキバキ折りながら
地面にたたきつけられる。「あぁイッテー・・・」 バイクを起こすのにまた大きく体力を消耗する。
ケープヨークの悪夢がよみがえる。「俺らは今日中にコーラルベイに着くことができるんだろうか」
なんでもないような道に見えるが、
とっても深い砂で、エグッチャン、ROOKIE
ともども複数回転倒。
気力、体力を消耗してしまい、しばらく
休憩する。
写真を撮る余裕があるだけまだまし
ということ。
まだまだひどいコンディションのところも・・・
砂を噛んでかなり摩耗が激しくなったせいかチェーンまで切れた。あぁもう最悪!!
一日待っても人っ子一人通らなさそうなところで・・・
チェーンの予備は自分は持っていない、もしかして最悪の事態に・・・と思いながら
ROOKIE : 「エグッチャン、チェーンなんて持ってないよなぁ?」
エグッチャン : 「チェーンはないけどコマならあるよ」
チェーンが切れる時はたいていは一番弱い継ぎ目(コマ)の部分である、自分のチェーンを
調べてみると案の定切れているのはコマの部分、しかもエグッチャンのバイクと僕のバイクは
同じヤマハ製の600cc、きっと合うはずだと思ってつけてみると ビンゴ!!
「うわぁ ほんま助かったわぁ エグッチャンありがとう、もし俺一人やったら50キロくらい
歩いて助けを求めに行かなあかんところやった、ほんま恩に着るぜっ!! よくぞコマを
持っていてくれました」
トラブル続きのストックルート、まっすぐ行けば2時間とかからず着いていたはずのコーラルベイまで
かかった時間は8時間、3時間ほどで着いて先に待っていたMAKOさんやNOBUさんはとても
心配していたようだった。
夕暮れ時になってようやくコーラルベイに到着、キャラバンパークでみんなと合流して、
途中の経過をゆっくりと話していた。
「カンナミユキに匹敵するくらい、ハードなルートやったで、地図上でも点線が途切れている程の道、
誰も通ってないんやろう、よしこのルートは『オートモルーキーストックルート』と命名するぞっ」
本に載ったわけでもなく、誰に話したわけでもない、だが自分の中ではあのルートは
「オートモルーキーストックルート」としていつまでも記憶に残っている。
バーボンを買ってきて飲む、あっという間に睡魔がおそってきてすぐにテントに入ろうとする。
ザルが 「ROOKIEさんもうおやすみですかぁ?」
と挑発してくる。いつも夜更かし競争をしていたROOKIEとザル。今まで一度も負けたことが
なかったROOKIEだが、今日ばかりは「ゴメンナサイ、オヤスミナサイ」とテントに入っていった。
人生楽ありゃ苦もあるさ・・・
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