03. ケープヨーク 1

(Cape York 1)


相棒探し

ケープヨークはオーストラリア大陸の最北端で、またそこへ行く道はオーストラリア4大ストックルート

の一つであり、かなり険しい。しかしそれを征服しようと何人ものライダーがケープヨークへ向けて

旅立って行く。ケアンズからおよそ1000q、そのうちの900qが未舗装である。

またこの辺りの気候は雨季と乾季がはっきりしていて、雨期には道路が冠水してしまうのでツーリングは

6〜10月の乾期を狙って走る。

バックパッカーズの管理人に「ケープヨークに行こうと思うんだけど。」って言うと

「あそこはかなり危険だから、一人で行くのはやめたほうがいい、誰か相棒をみつけなさい。」

と言う。もちろん一人で行って無事に帰って来たライダーもたくさんいるのだが、僕自身まだツーリングの

最初のほうやし、ここでバイクを壊すわけにもいかないので相棒が現れるのを待つことにした。

2〜3日もすると僕が泊まっているB.P (バックパッカーズ、以下B.P) の隣のB.Pにいるライダーに

これからケープヨークに行くと言う人が現れた。通称 「ナンチャン」 




作戦会議

早速ナンチャンと作戦会議に入る。作戦会議というと大げさなようだがケープヨークから帰ってきた

ライダーの話を聞くといかに厳しいかがわかる。

装備品は工具が俺、空気入れはナンチャン、コッヘルは俺で、番線(針金)は量を減らして、着替えはナシで

来ているやつを毎晩川で洗濯する・・・ など共用できるものはすべて共用し、お互いの装備を

必要最小限に留める。荷物を積んだビッグバイクを険しいロードコンディションのなか押さえ込んで

走るためだからやむをえない。

次にバイクの整備。タイヤを新品にし、エアークリーナーの清掃、エンジンオイルの交換、電装系の

部品の点検、特に自分のバイクは中古でかなりガタがきていたんで、スイングアームの付け根の

グリスアップもした。(それだけで1日かかった。)

ケアンズのB.P前で愛車の整備。

初めてのストックルートでこの時はまだ不安が

いっぱい。無事に帰って来られますように・・・



初日から転倒

8/31 いよいよケープヨークへ向けて出発。クックタウンと言う町に寄り道していくことにする。

舗装路はあっという間に終わり、未舗装路へ。途中マディ (ぬかるみ) のところがあり歩いて

様子を見るが通過しないことには先へ行けないので気合いを入れてまず行ってみた。

30メートルほどを一気に渡り終えて 「おっ 行けるやんけ」 と気をぬいたとたんに転倒。

ほとんど立ちゴケなんでバイクも体もダメージはないが、荷物を入れて200s近くあるバイクを

起こすので一苦労。根性いっぱい力を入れればなんとか起きるけど、連続しては無理やろうなあ。

途中出会った人にこの先の道路状況を尋ねると、川渡りがあって14:30ごろが一番水位が

低いらしいんでそれにあわせて先を急ぐ。

CAPE YORK 道中川渡り

いきなり現れた川。向こう側に見えるのが続きの道で

ここ以外に渡れるところはない。橋をかけても雨期の

増水で流されてしまうのでもともと橋はないらしい。

最近流行りの4WDなら簡単に渡ることができるんだろうが・・・


この川のような大きな川がもうひとつあり、慣れたところで渡ってみたら向こう岸に着く直前に

転倒、クラッチレバーが折れ、左手の中指と薬指にダメージを受けた。

さっきのマディもそうやけどやっぱ俺ってツメが甘いんやろうなぁ。

やっぱケープヨークはみんなが果敢に挑戦するだけのことはあるんやなあと思いながら

初日はクックタウンで泊まる。




砂まみれ汗まみれ

サンサンと太陽が照りつける灼熱地獄、暑いというより熱い。前者が巻き上げた砂埃をあまり

吸わないよう(バイクが)何qか間隔をあけて走るのだが、それでも一日走ったら、赤土で

全身真っ赤。

このケープヨーク行ではほんとにいろんなロードコンディションを見た。一つはダストホール。

砂と言うより粉のような粒の小さい粒子がたまっているところがある。小麦粉みたいな感じと言えば

想像してもらえるだろうか。走行中にいきなり現れ、減速するまもなくダストホールに突入、と同時に

10mを越すほどの砂埃が一気にあがる。後ろを走っていたナンチャンも何が起こったのか分からず

突然の砂柱にびっくり。

それまで路面をとらえていたタイヤが一気にダストホールに取られて操作不能、幸いその時は

転倒せずに済んでよかったけどほんまヒヤヒヤもん。

もう一つよく見かけるのがコルゲーション。路面が洗濯板のようにギザギザになっていて走行時の

振動ときたらもう最悪。時速80qくらいまで上げると振動が減るのでここはすっとばして行くってのが

ライダーの常識になっている。ダストホールはほんとの一瞬だけやけど、このコルゲーションは

何十qも延々と続く場合があるんで本当にやっかいだ。この振動でバイクのボルトがあちこち

緩んで抜け落ち、またキャリアもひび割れや折れてしまったりする。

2日目はあんまり走ってないけど、明るいうちにバイクの整備をしようということでハンリバーの

C.Pで宿を取ることにした。

エミュー 世界で2番目に大きな鳥
人間の背丈ほどか。
オーストラリアではその辺でよく見かけるので
たいして珍しくもない。
飛ぶことはできないが、その分走るのは速い

パンを食べていたらおねだりしてきて
ちょっとこわかった。あのくちばしでつつかれたら
かなり痛そう。


CAPE YORK道中整備 ハンリバーのキャラバンパーク
以前折れたサイドスタンドが気になる
エアークリーナーも真っ赤になっていた

ハンドルに干してあるのは靴下。
荷物は少なめなので洗濯も毎日
しなければね。



次は難関が連チャンで現れる!! ケープヨーク2です。お楽しみに


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用 語 解 説
ストックルート 普段はほとんど交通のない大陸を縦横断している道。よほど物好きな旅人
がたまに挑戦して通るくらいか。何百qも何もないところが続くのでバイクで
の走破はかなり厳しく、このケープヨークはまだましな方。


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