国道2号線 後編
2004/04/14UP

 前回の続き、広島県の三原駅前にあるデパートの入口で一晩を明かし、翌朝早々と出発。

野宿をしていると他人の気配がとても気になるので、人々が動き出す前に起きて行動を

開始することが多い。三原と広島の間には山陽道では一番の峠越えがある。JR山陽本線でも

この区間の瀬野駅〜八本松駅の間は貨物列車にはこの区間専用の補助機関車が付くほど。

まぁ、峠と行っても日本海側から太平洋側に抜けるような山脈越えではないので、ダラダラと

ゆっくり登ってあっという間に峠を越える。峠を下りきってしばらく走ると原爆の町、広島。

学校でも広島の原爆の話はよく習っていて話では知っていたが、実際に広島へ足を運んだ

のはこの時が初めてだった。例によって駅に寄りたがる習性があるのでとりあえず広島駅へ。

自分が思っていたよりも大都会で、駅前あたりなどホントに繁華街。交通量も多く、自転車では

走りにくい町だった。

急ぐ旅でもなし、せっかくだから原爆ドームと平和記念公園に寄って行くことにした。



 平和記念公園に行くと、教科書で見た覚えのある慰霊碑があった。原爆ドームも見に行ったが

かなり老朽化していて、周りにもたくさん建物ができているせいかあまり目立たない感じ。

当時はあたりでも大きめの建物だったんだろうなぁ・・・

平和記念公園にある原爆資料館にも入った。これは壮絶だった。

教科書で習うとの資料館で見るのとでは大違い。当時の様子がはっきりと伝わってくる。

被爆した人が来ていた衣装や、熱で変形した家財道具、その他たくさんの資料や展示品が

あって見ていると胸が熱くなった。外国からの観光客もかなりいた。さすが世界で唯一の

被爆国のせいだろうか。
 


広島から先は穏やかな瀬戸内海沿いの平坦な道が続く、もちろん走っている道は大阪から

ずーっと続いている国道2号線。宮島口のあたりを通っている時、日本三景の一つ、安芸の

宮島にも寄って行こうかなぁ・・・とも思ったが、船で渡らなければ行けないのもあって、

なんとなくパス。そのままどんどん西へ走り続ける。広島の次の大きな町は山口県に入って

すぐにある岩国。ここは錦帯橋が有名。国道からそんなに遠くないところにあるようなので、

これまた教科書でしか見たことがない錦帯橋に行ってみた。みなさんは錦帯橋ってご存じ

だろうか? 実際に行って橋を渡ってみたが、たいしたこともなかったかなぁ。(笑)

でも歴史のある橋で、観光客もたくさんいた。



山口県に入るとなんとなく九州が近づいているなぁって実感が湧いてきた。朝広島県の三原

を出発したこの日は、山口県の徳山と言うところで泊まることにする。徳山に着いた頃には

もうすっかり日も暮れて真っ暗になっていた。さて、どこで寝ようか・・・

この徳山も新幹線の駅があり、まぁ駅の周りはそこそこの町。この日も12時間以上走って

そうとう疲れていたのと、天気が悪くて小雨が降っていたので、雨をしのげるところなら

どこでもいいやって思って野宿するところを探す。駅の近くの2階建てのアパートの階段の

下で寝ることにした。人通りはそこそこありそうだが、荷物満載の自転車を見れば不審者

ではなくて旅の若者だってわかってくれるだろう・・・

今ほど治安が悪くなかった時代だからできたことだろうか・・・

余談だが、仕事でこの徳山に行くことがあって駅のすぐ裏の宿に泊まっていた。

駅の近辺はあまり開発が進んでおらず、当時の風景が思い出された。



 早朝徳山を出発、ほぼ海沿いに九州を目指して走る。山口県の小郡だったか、駅で休憩

していたら、ヒッチハイクで東京からやってきたと言う大学生がいた。旅の者どうし話が

弾む、日本大学の学生で、クラブで誰が一番早くヒッチハイクで九州まで行けるか

競走しているとか。なぜかしら持っていたチーズを箱ごとくれた。ありがたや〜

小郡を過ぎたら、あとは私にとって興味があるところもなし、西へ西へと走り続ける。

荷物満載の自転車でも、一日走ればだいたい150〜160kmくらいは進む、大阪から

3日で九州へ入るつもりだったが、2日目の雨で大幅ペースダウンしたので4日目の今日

九州入りできそうだ。



下関に着いた。目の前の海を渡れば九州だ。中学1年の時に鉄道旅行で九州に

来たことがあったので、4年半ぶりの九州となる。鉄道はトンネルで、自動車は高速道路が

橋、一般道はトンネルだが、自転車歩行者はその道を通ることができないので、自転車

歩行者専用の小さなトンネルが別にあった。ほんとに海の際まで行って、そこでエレベーター

に乗って約50m下降、そしてトンネルを進むこと780m、そしてもう一度エレベーターに乗って

上がればそこはもう九州だ。自転車でも10分とかからず渡ることができる。まだお昼頃

だったが、雨が降っていたので雨宿りも兼ねてそのトンネルに長居していた。うれしがりで

しょうもないことをするのが好きな私はそのトンネルが無料であるのをいいことに何回も

行ったり来たりして、「一日で九州と本州を5往復した」とか誰も話す相手もいないのに

自己満足に浸っていた。(笑)

大阪の梅田から600kmに渡って走り続けた国道2号線、九州の玄関口の門司が終点で

ここより先は国道3号線になる。自転車の旅はまだまだ続くのだが、今回の国道2号線

シリーズはこれでおしまい。 



いずれまた九州自転車ツーリングのお話もアップいたします。



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