一宿一飯の恩
2001/7/16up

 今度は中学2年生の時の話。友達と2人で四国旅行をしていた。

10日間の行程だったけど、いつものごとく宿泊はすべて夜行列車。

若さゆえにできることか・・・(笑)

当時の四国には高松を起点に愛媛県の宇和島行きと、

高知県の中村行きの2本の夜行列車があった。

その夜行列車は下りのみの夜行列車だったので、松山に行こうが、高知に行こうが

夜になるとその夜行列車で泊まるために、必ず高松に戻ってくるというわけ。

毎晩その列車で夜を明かしていたわけだが、旅の中頃やったか

たまたま向かいの席に座った人が声をかけてきた。


「君ら2人で旅行してるんやね、毎晩夜行列車ばっかりやったら
しんどいやろう、うちに泊まりにおいで。」


 今友達と旅行しても誰にもこんな風に声をかけてもらえることはないだろう。(当然だが)

まだまだあどけなさが残る子供の頃だったからやろうなぁ・・・

そう思うと、子供の頃に単独で旅行していたというのはいい経験ができたなぁって思う。

 その人の家は愛媛県の大洲市というところにあって、連絡先を教えてもらい後日

そこの駅(伊予大洲駅)まで迎えにきてもらうことに。

僕たちを誘ってくれた人は30代半ばほどか、その人の家はとっても山の上の方にあって

一番近い自動販売機までも車でないと行けないとか。(笑)



 大洲市には冨士山と言うやまがある、「とみすやま」と読むんだって。

日中はそこへ連れて行ってもらった。大洲の町を一望できる展望台があって写真をパチリ。

大洲市には肱川という大きな川が流れていて、夏には鵜飼いが行われる。

夜になって、車で肱川まで連れて行ってくれた。

初めて見る鵜飼い、夏の風物詩って感じか、テレビでしか見たことがなかった鵜飼いを

実際に目の前で見られたってのはとっても印象深く、記憶に残った。

「なんで食べたやつをまたはき出せんねやろう?」なんて不思議に思ってたり。(笑)



 家に戻るとその人の弟さん(当時高校1年生)が将棋の相手をしてくれた。

もちろん一度も勝てなかったけど・・・(笑)

その人はタイル職人で新大阪駅のタイル張りもしたことがあるとか・・・

家族のみなさんといっぱいお話して夜が更けていく・・・



 翌朝、高校一年生の弟さんが学校へクラブ活動しに登校するのに合わせて

一緒にバスに乗る。山の上のその人の家から伊予大洲駅まで一人 ¥360

その弟さんが3人分まとめて払ってくれたんやけど、全部小銭で払ってジャラジャラと

料金箱に入っていく。バスを降りてからその弟さんがポケットから小銭を出して見せた。


「一人¥360やけど3人分で¥360しか払ってないねん。(^^)」


(゜ロ゜)ギョェ なるほど、だから数えにくいようにわざわざ10円玉イッパイでジャラジャラと

払ってたんかぁ〜 と感心というか尊敬というか・・・  なかなかやるなぁ。

そのお金でジュースを買ってくれた。(^^)

「どうもお世話になりました m(__)m」 と頭をさげてそこでお別れ。

その後、家に帰ってからお礼のハガキを出した、年賀状もやりとりした。

そして数年後、やりとりは自然消滅し現在に至る。

今度愛媛県にゆっくり行くことがあれば

「あのときはお世話になりました」

と手みやげ持って挨拶に伺い、18年の歳月が経って成長した自分を見てもらいたいなぁ・・・



おしまい




home       back       next      index