満天の星空 2000/11/25up

星に興味を持ったきっかけ

 高校生の時に写真部にも所属していたのだが、その部室が天文部と共同だった。

そのせいか天文部の面々とも仲良くなって、夜間観測に呼ばれて一緒に行くようになった。

大阪で星を見ようと言ってもそこらへんではとても観測できるほどは見えない。

いつも行く所は大阪北部と兵庫県の境にある妙見山というところ。

免許の類をまったくもたない当時の僕達は、みんな自転車でその山に登っていた。

土曜日授業が終わった後、みんなで学校を出発、そこまでの距離は約22qで

ゆっくり走っても2時間はかからないほどか。

テントや寝袋、コンロにコッヘル、キャンプ用品一式に天体望遠鏡、三脚、赤道儀、カメラ等

荷物はいっぱい、なかなか体力のいる観測だったけど、みんなで夜中にホットコーヒーや

カップラーメンを食べながらの観測はなかなか楽しかった。


ハレー彗星

 高校1年生の時にハレー彗星がやってきた。

前回の1910年の時とは違って肉眼で見ることはほとんどできないくらいかすかな光。

でもこれを逃したら次に見えるのは92歳。それまで生きてるだろうか?

生きていたとしても今と変わらない視力を持っているだろうか?76年に一度のチャンスを

みすみす逃す手はないと、天文部の相棒と2人で観測に行くことにした。

「今回のハレー彗星ホンマ暗いから妙見山じゃぁ見えへんで、

 もっともっと大阪の街灯りが届かん山奥に行かんと。」

というわけで決まった行き先は大阪最北端にある深山(みやま)。

道路地図には載っておらず、ほとんど知られていない山。

3月中ほどの試験休みを利用して、相棒と2人して荷物満載の自転車で深山に向かう。

大阪市内に有るうちの実家からだと約50q。学校からでも40qの行程、しかもずっと

登り坂で。峠を登って行くに連れて雪が積もっているようになった。

国道をそれ林道に入り、あと1300mで山頂と言う標識のところでついに走れなくなって

しまった。

積雪約30センチ、誰も通らない道なので除雪もまったくしていない。

「どうする? ここでテント張るかぁ?」

「いや、やっぱ山頂やろう」

山頂へ行けば360度の展望が開けている。ここで2人の妥協したくない思いが

一致し、強引にも山頂をめざして進んでいった。

自分の足で雪を踏み固めてみたり、2人がかりでお互いの自転車を

押し合ったり、自転車まるごと肩に担いでみたり・・・

そのラスト1300mを進むためにかかった時間はなんと2時間以上。

もうヘトヘトになってようやく山頂に着いた。


満天の星空

 山頂に着いたのは午後3時くらいか、星を見るにはまだ早く、また2人とも

疲れ切っていたんでテントを張ってそのまま寝袋に入る。横になってから

しばらくもたたないうちに2人とも寝入っていた。そして時間が経つ・・・

僕は夜7時ころ、相棒に起こされた。

「おい、ええから外見てみぃ」

と言われるがままに寝ぼけ半分テントから首を出していっぺんに目が覚めた。

「w(゜o゜)w オオー!  めっちゃきれいやぁ なんじゃこりゃぁ 星が見えすぎて

どれがどれかわからへんやんけ〜!!」


どこにどの星座があるかなんていつも簡単にみつけているのに

この時は本当にわからなかったくらい満天の星空だった。

これが僕の人生の中で見た最高の星空。

ハレー彗星もしっかりと確認して、肉眼で見ると言う念願達成。

雪にも負けず、ここまで来たかいがあったよ。


その頃を振り返って

 昨日の夜、先月開通したばっかりの東海北陸道の清見インターまで車で走った。

名神高速一宮ジャンクションから分岐して北へ向かうこと約120q。

清見インターへ近づくに連れて車はほとんど見かけなくなる。

あまりにもまわりになにもなく真っ暗なので、走りながら窓の外を見てみると、

ちらっと一瞬窓越しに見ただけでもわかるほど満天の星空。

時速100qで走りながらもついついよそ見をしてしまう。

どうしてもじっくり見たくて、パーキングでもなんでもない路肩に車を止めた。

「おおっ めっちゃきれいやぁ こんなにきれいな、星が落ちてきそうな程

満天の星空を見たんはあの時以来やなぁ、あれからもう15年かぁ」

その時頭の中は15年前にタイムスリップ、天文部の相棒と雪の中でみた星空と重なっていた。

次のハレー彗星は2061〜62年、その時ハレー彗星を見る時も

きっと16歳の時に見た星空と重なるに違いない・・・


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