ヒッチハイク 2000/10/18up

 今までいろんなとこに旅行してきたってことは前にも述べたと思う。

その中にはヒッチハイクをしたことも何度もあった。

貧乏学生にとっての移動手段としては最も費用がかからない方法、

かわりにいつ目的地へたどり着けるかわからないと言うリスクを背負うことになる。

乗せてくれた人には本当に感謝の気持ちでいっぱい。

たいていはお互い住所も名前も聞かずにその場限りでのふれあいで終わる。

だがしかし、本当にお世話になりましたと言う感謝の気持ちと、ちょっと冒険したなぁ

って言う思い出は自分の中には永遠に残っている。

自分の経験もいっぱいあって何から書こうかと迷うほどだが、今日はなんと

初めての経験、自分がヒッチハイクされた側になったことを少し。



 今日は奈良へ仕事で行っていて、帰りに名神高速多賀サービスエリアで休憩をしようと

車を止めた、降りて売店へ向かっていると若いお兄ちゃんが声をかけてきた。

「すいません、どちらまで行かれますか?」

とその言葉を聞くと同時に彼はヒッチハイクをするつもりなんだなぁってのが

わかったんで 「ヒッチハイク?? 乗ってけよ」 とあっさりこちらからO.K.の返事を出す。

富山県の大島町に住んでいる高校3年生の男の子。

富山では今国体が行われていて、小、中、高校と休みになっているとか。

その高校生は京都親戚のところへ行っていたのだが、お金があんまりないので

ヒッチハイクで帰る決意をしたという。なかなか見上げた根性だ。

僕は全然人見知りをしない方なんで、その高校生とすぐに会話が弾んだ。

「自分も学生の頃はよくヒッチハイクをしたもんだ」なんて話しながら

サービスエリアで買ったタイヤキを差し出す。そんなことも交えながら

昔を思い出して懐かしんでいた。話に熱中しているとあっという間にうちの会社へ。

「これからどうすんねん?」 って聞くと 「適当に車また探して家に帰ります」 って。

会社で降ろしてほったらかしってのも愛想がないんで

「近くの駅まで送ったるわ」 って  「ほんまですかぁ ありがとうございます」

心の中では家まで送ってやろうかなぁなんて思ったりもするけど、今日は朝5時から

活動していて、会社に帰ってきたのは夜7時。めっちゃしんどい、早く家に帰りたい

って言う気持ちのほうが勝ってしまったんで、高校生には悪いけど駅で降りてもらおうと思った。

車に乗せて駅へ向かって会社を出た。まだ自分の昔のことを懐かしんだりしていた。

でもよく考えてみたら、僕自身色んな人にお世話になってきた。何度も車に

乗せて貰ってきた。そう思うとすぐに言葉が出ていた。

「ここで会ったのも何かの縁や、家まで送ってったろやん」

うちの家から彼の家のほうまでは車で4,50分。別れ際に

「残りの学生生活めいいっぱい楽しむねんぞ」って言って別れた。

そうして僕が自宅に帰ってきたのが9時前だったか。

 彼も何年か後に誰かにヒッチハイクされて、若い学生を乗せていることがあるとすれば、

「俺も昔はヒッチハイクしたことがあってなぁ」 なんて語っているんだろうか。


                                          終わり


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