2001/05/22  輸送手段


 長いことここも更新してませんでして、今日は久々の更新です。

鉄塔ってすっごい山奥に建っていることって多いのですが、見たことありますか?

道路があってそのすぐ横に鉄塔が建っているのなら、送電線仕事も楽なんですが、

なんでかしら山奥に多いもんでして。それもすっごい山奥。

どうやってあんな山奥まで重たい物資を運んでいるか・・・

方法は大きくわけて2つあります。一つは索道と言って、鉄塔に一番近い道路から、

荷物運搬専用のケーブルを張ってそれに荷物をつけて、エンジンでケーブルをやりとりして

山の上へ送る方法。

この索道ですが、だいたい1.5t 〜 3.0t くらいの物まで運べます。重機(穴を掘るショベルカー

みたいなんとか)だと一台 10t以上になるものもあるんで、山の上で使用する重機は

解体式の物を使ってバラバラにして山へ送り、また山上で組み立てて使います。

索道自体、大がかりな機械なんですが、一番最初は細いロープを人間が持って山へ上がり、

少しずつ太くしていって、最終的には直径が28ミリくらいある鋼製のワイヤーを張ります。

(他にもいろいろ張るんですがここでは省略)

この索道、荷物を運ぶことはあっても決して人間を運ぶことはありません。

なぜかと言うと安全第一だから。万が一途中でケーブルワイヤーが切れたりしたら、谷底へ

真っ逆さま。山で見かける観光用のロープウェイと荷物運搬専用のケーブルでは、安全率に

大きな違いがあって、荷物用のケーブルで人間を運んでは行けないことになっているのです。

山の上にある鉄塔を見て、「あぁ俺も索道で送ってほしいなぁ・・・」なんてことは

ラインマンなら誰もが思ったことがあるでしょうが、決して人間を運ぶことはなく、作業員は

山道を歩いて登っていきます。



 荷物を山奥へ運ぶもう一つの方法はヘリコプター。

これも機種によって差がありますが、だいたい仕事で使うヤツは 1.0t 吊りから 3.5t 吊り

くらいのヘリコプター。ヘリコプターだと荷物の運搬が超早いんですが、お値段も超高い!!

 3.0t 吊りのヘリを半日頼んだ場合、200万円くらいします。以前山で大けがして、

救助ヘリに助けてもらった友人がいましたが、しっかり請求書がきまして、値引きして

70万円だったそうです。つまりヘリコプターってとってもお金がかかる乗り物。

もちろんこれも荷物だけで人間は歩いて山へ行きます。



 今日の仕事はそのヘリ運搬でした。

大型トラックも入れるような大きな資材置き場にヘリポートを作ってそこまでトラックで運んで

きた荷物をヘリコプターで山奥の鉄塔まで運ぶというわけ。

今日はその逆で山奥の鉄塔の仕事が一段落ついたので、山奥からヘリポートに荷物を回収

する仕事。僕は山奥の鉄塔側に行って、やってきたヘリコプターに荷物をつける仕事。

この鉄塔、そこまで行くのにモノレールに乗っていくんです。これは人間運搬用。

モノレールと行っても工事用の小さいやつで8人乗り。そのモノレール建設の仕事もラインマンで

やってました。(去年の夏)。大型工事で何年も工期があるような場合、あまりにも山奥だと

現地に行くまでに時間がかかりすぎ、効率が悪いのでモノレールを建設します。

今日は2人で山へ上がっていたんですが、モノレールを運転しながら

「こんなん子供連れてきて乗せてやったら喜ぶやろうなぁ・・・」なんて。 (^^)

モノレールに乗ること15分。そこから歩いてさらに20分、ようやく鉄塔に到着。

鉄塔に到着したことをヘリポートの要員に無線で伝え、しばらくしてヘリがやってきました。

今日のヘリは大型の3.5t 吊り。ヘリコプターに荷物をつけるわけですから、低空でホバリング

しているヘリの真下にいるってこと。これがものすごい風圧で・・・砂埃や石が巻き上がって

目も開けていられないくらい。ヘリコプターの操縦はとても難しく、少しでも風があるとすぐに

揺れるので荷物をつけるのは一瞬の勝負です。吹っ飛ばされそうな風圧と戦いながら、荷物を

つけて合図オッケ〜 そしてヘリが去っていく。これの繰り返し。今日は5往復しました。

最後の荷物はヘリの能力ぎりぎり一杯の3.5t 重量。4回目が終わったところで燃料がまだ

いっぱい残っていてヘリの自重が重たいというので、ヘリポートで一旦エンジンを止め、

燃料を抜いてから飛んできました。

ヘリの自重プラス荷物の重さにうち勝つだけの風圧があるわけですから、最後の荷物の回収の

時が一番風が強かった。目にいっぱい砂が入っちまったぜぃ。

でも無事に終わってよかった。 ヘリの仕事は何回やっても緊張するなぁ。(笑)



おしまい。


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