01.旅立ち


 オーストラリアへワーキングホリデービザで行こうと思い立ったきっかけは、当ホーム
ページの開設当初からあるコンテンツ「たったの一歩」に書いてある通り。

このコンテンツの親タイトルはシドニー滞在記だが、第一回目である今回は、日本を
旅立つところを書いていこうと思う。


出発の朝
 1993年4月16日、お昼12時ちょうどに伊丹空港を発つシンガポール航空のチケットを手に
していた。その日、起床したのはいつも通りの朝7時。これから1年近くも旅に出ると言うのに、
実はまったく持ち物の用意をしていなかった。(;^_^A アセアセ
ただ、渡豪のための大きなリュックだけは買ってあった。海外旅行は初めてだが、2週間
から20日間程度の旅行なら国内で何度も行ったことがある。20日間も1年間も最初に
どうしても用意しておかなければならないモノには大差はないだろう。
オーストラリアへ渡った後も、一点滞在型ではなく、いずれは旅して回るだろうとは
思っていたので、スーツケースだと身軽に移動しにくいと思い、背中に背負えるザックで、
なおかつ手で持つバッグのようにもなり、ファスナーで脱着可能なデイバッグも組み込まれて
いると言うバッグというかザックと言うか・・・
まぁ、そのバッグに下着類や洗面具を入れ始めたのが出発当日の朝と言うわけである。

 私は長期でも短期でも、自分が運んだり背負ったりする荷物は極力少なくする主義で
ある。当時は物価が日本よりもだいぶ安いとも聞いていたので、必要なモノは現地で
そろえればよいと思っていた。だから最初にバッグに詰めて行ったのは下着類と洗面具、
カメラとフィルムとガイドブックや辞書など、その程度だった。

 飛行機に乗った事がなかったので、本で国際線の搭乗の流れみたいなのを勉強
してみると、国際線は出発の2時間前までには空港に着いておいた方がよいと書かれていた
のでなんでか理由はわからないが、とりあえず午前9時過ぎに自宅を出た。初めての
飛行機で初めての海外旅行、しかもこれから1年近く帰ってこないと言うのに家族の
見送りはまったくなし。(笑) 玄関で靴を履こうをしていると、母親だけが家の中から
「水には気ぃつけや」と一言。(笑)玄関にまですら誰も出てこないROOKIE家。(笑)
ま、私自身旅慣れしてることやし、うちの家はこんな感じです。(笑)

 空港へ着いてしばらくすると、見送りの友人達がやってきた。
やっぱ持つべきモノは友達だなぁ・・・嬉しいやん。(^-^)
5人くらい来てくれたなぁ。 いよいよ出発と言う時、そのうちの1人が大きな声で
「ROOKIEのオーストラリア行きを祝って、バンザーイ・バンザーイ・バンザーイ」
と万歳三唱。恥ずかしかったけど、めっちゃ嬉しかったよ。

 そして12時、定刻どおりテイクオフ。小学生の頃、自転車に乗って友達とよくこの
伊丹空港へ飛行機を見に来ていた。いつもいつも飛び立つ飛行機を見て羨望のまなざしで
見送っていたのだが、ついに自分が見送られる側になって空へと飛び立っていけることが
嬉しくてたまらない。搭乗口が離れ、飛行機が誘導路を進み、滑走路の一番端に着いて
管制塔からの指示を待つ。窓から見える空港周囲のフェンス、いつもあそこに
かじりついて飛行機を見てたんよなぁ・・・
そして離陸、ものすごく早いバイクでフル加速した時に感じた加速Gを遙かに上回る加速G、
シートに背中が押しつけられる感覚が気持ちいい。いつも見ている通り、離陸してまもなく
左旋回して雲の上へと飛んでいった。



チャンギ空港で
 それから5時間くらいたっただろうか、シンガポールのチャンギ空港に到着。
私のチケットは直行便ではなく、シンガポールで乗り換えしてシドニーへ向かうチケット。
当時は直行便は非常に値段が高く、キャセイパシフィックやノースウエスト、大韓航空や
このシンガポール航空など乗り換え便の方がとても安かった。値段が安ければどれでも
いいかなぁと思ったのだが、シンガポール航空のサービスはコンテストで世界一と
聞いていたので、なんとなくシンガポール航空にしたのだ。
スチュワーデスさんの衣装がとってもキレイだったなぁ・・・(*^_^*) もちろん衣装だけで
なくご本人さん達もね。(笑) シンガポール航空のスチュワーデスは、太って
制服が着られなくなったらクビだそうです。(ホントみたいよ)

 チャンギ空港で次の便までの待ち時間は5時間。これは長い。かと行って空港を
出て観光するほどの余裕もないので、ここは空港内をうろうろして時間をつぶす
ことにした。今はどうかわからないが当時はチャンギ空港といえば世界で2番目に
大きな空港。ムービングウォーク(動く歩道)で行っても行ってもまだ先があるって感じ。
どこで何をしようか迷いながらうろうろしていたら、日本人女性に
「すいません、お一人ですか? オーストラリアへ行かれるのですか?」
と声をかけられた。
私は元々あまり人見知りしない性格なので、驚くわけでもなく普通にいろいろ話しを
聞いていると、その女性もワーキングホリデービザでオーストラリアへ向かうところ
だそうな。その人も1人で少し不安だったらしい。大阪空港から私が1人旅であろうと
言うことをチェックしていていつ声をかけようかと思っていたとか。そしてチャンギ空港で
私に声をかけてきたと。
その人は私と違って行き先はメルボルン、次の便は違うのだがお互いに時間がたっぷり
あったので、2人して空港内の喫茶店でのんびりティータイム。
その前に私は日本円とオーストラリアドルのトラベラーズチェックしか持っていなかったので、
空港内にある両替所でシンガポールの通貨に2000円分ほどだけ交換。喫茶店でお
茶した後、私がまとめてお勘定を払ったのだが、メニューに載っていた金額よりも
若干高かった。(・_・?)ハテ 日本人の不慣れな旅行者と見抜かれてさてはボラれたか・・・
と一瞬考えもしたが、シンガポールのチャンギ空港内にあるお店でそんなセコイことも
するまい、といろいろ考えつつ、こわごわお店の人に聞いてみると日本で言う消費税
みたいなモノだそうな。(笑)なるほどね。日本の消費税は5%ですが、当時のシンガ
ポールはもっと高かったんじゃないかなぁ。



緊張の連続
 先の女性とは今後1年間のお互いの検討を祈って空港でお別れ。私はシドニー
行きの飛行機へ乗った。もうすっかり夜中、しかし飛行機に乗ってすぐにジュースの
サービスが回ってきた。日本からの便は日本人のC.A.(キャビンアテンダント)も
乗っていたが、シンガポールからシドニーの便には日本人のCAは乗っていない。
さて、ここで私の心臓はバクバクしてきた。初めて使う英語・・・通じるだろうか、
ものすごい不安だ。(;^_^A
英会話の本を出し、「飛行機の中で」と言うページをめくってそこに書いてある
通りにしゃべってみた。

 "Could I have something to drink please"
 (クダイハブ サムシング トゥ ドリンク プリーズ)

緊張しまくりでハッキリと発音できず、モゴモゴした感じになってしまって
全然通じない。( ̄□ ̄;)!!
 どうしよう・・・脈拍200!! (笑)もう一度同じように言ってみたがやはり通じない。
焦りまくっていたら隣の席の人が私の変わりに注文してくれた。
隣の席に方、かなり年配のおばあさんって感じの人だったが、アメリカに10年間
住んでいた経験をもつ日本人だったので、日本語はもちろん英語もペラペラ、
w(゜o゜)w オオー!
渡りに船とはまさにこのことか、飛行機の乗ってからもその人とは何も話さな
かったが、これをきっかけに少しだけお話した。

 あぁ、ジュース一つ注文もできないヤツが、1人でオーストラリアに行って
生きていけるのだろうか・・・

 シドニーが近づいてくると何かよくわからないが、書いて提出しなさいと言うような
紙が回ってきた。もちろん全部英文で書いてあって意味がよくわからない・・・
(;^_^A アセアセ まぁわかる範囲で記入して後はなんとかなるだろう。 その後CAが
機内になにやらスプレーを噴射している。
これはオーストラリアは他の国とは遮断された独特の生態系を持つ国のため、
外国のウィルスや細菌が入ってこないように海外からオーストラリアへやってくる
飛行機ではみんなスプレーで殺菌消毒しているとか。
これは事前に本でチェック済みだったので難なくやりすごす。(^-^)

 ず〜っと真っ暗闇の中を飛んできたのだが、遠くに光りが見えてきた。
w(゜o゜)w オオー! あれはもしかしてオーストラリアの光かっ!!
初めて見る海外の街灯りに興奮気味のROOKIEであった。
(笑)シドニー空港にランディングした瞬間、機内からは拍手がわき起こった。
(*^^)//。・:*:・°'★,。・:*:♪・°'☆パチパチ 
これってオーストラリア人の乗りなのかなぁ。(^-^)



ホストファミリーとの出会い
 シドニー空港に到着したのは朝の5時。まだ外は真っ暗だった。飛行機を降りた後、
どこへ行けばいいのかさっぱりわからないので、とりあえず人の流れに着いていけば
大丈夫だろうと、みんなと同じ方向へ進む。
そして荷物を受け取り、入国審査。この入国審査もちょっとドキドキもんだった。
短期間の観光で来たのなら"Sight seeing"と答えればいいらしいが、ワーキング
ホリデービザで来ていると言うことは長期滞在はほぼ確実、何を聞かれるのだろう・・・
そもそも何を聞かれているのか自体自分が理解できないのでは・・・
審査官になにやら質問されたが、質問の意味などまったく理解しないままに一方的に
「シドニーでホームステイして英語学校で勉強します」とだけ事前に予習していた
英語で伝えたらあっさりO.K. \(^O^)/ヤッター
そして空港ロビーへ出る。日本で申し込みした留学斡旋所の人の話によると、
空港にホストファミリーが迎えに来ているはず。どこにいるのかなぁ・・・
キョロキョロ (・_・ ) ( ・_・) キョロキョロ  
私が乗っていた便で私のように日本からの留学生が他にも何人かいたようで、
アルファベットで名前が書かれたプラカードを持って立っている人が数名。でもなんか
ここで勘が働いた、一番最初に目が合った人のプラカードを見るとそこに私の名前が
書かれているではないかっ!! w(゜o゜)w オオー!
この人達がホストファミリーか〜 すぐに見つけられたよかったよ〜 (^。^;)ホッ
迎えに来てくれたのは、ホストファミリーのうち、世帯主と思われる男性と、
その子供かな? と思われる小さい男の子の2名。 ここでも事前に本で予習していた
「ホストファミリーと初めての挨拶」と言うページに書かれていることを丸暗記して
そのまましゃべった。(笑)とりあえず、自己紹介は無難に終了。そして彼らの車に
乗せてもらい、ホームステイ先へと向かったのである。

次からは画像もアリです。お楽しみに。(^-^)

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