2006/05/01 立山黒部アルペンルート 

 私が住む富山県には北アルプスの山々が連なり、黒部峡谷や立山連峰など
山岳観光地がたくさんあります。なかでも立山黒部アルペンルートの眺めは絶景。
本来ならば自分の足で、大変な労力をいとわない人だけが入ることができた所
でしたが、このルートの開通によって誰でも簡単に標高2000メートル超の世界へ
行くことができるようになりました。 日本一の豪雪地域なので11月から翌年4月まで
長い間人を寄せ付けない雪の世界になりますが、毎年4月20日前後にこのルートが
全線開通します。 世間ではもう桜も散って春らしくなってきましたが、まだまだ
雪深い立山の景色をどうぞご覧ください。


立山黒部アルペンルートの富山県側の起点、
立山駅。富山駅から富山地方鉄道がここまで
延びているので、公共の交通機関だけの利用
でもここまで来ることができます。

自宅出発が朝6時で、7時過ぎにここへ着いた
のですが、ご覧の通りの賑わい。スキーや
スノーボードを担いだ人もたくさんいました。



立山黒部アルペンルートはマイカーでは
入れません。立山駅側から登る観光客は
すべての人がバスか、ケーブルカーとバスの
併用で上がっていきます。
写真は立山駅を出て5分ほどの常願寺川
沿いの道。このへんでも少し雪が残っています。
ちなみに立山駅は標高475m。

この先しばらくすると料金所があるのですが、
バスの通行料1台で5万円!! 
しかし、これからのルートを見ていると納得
できてしまいます。



立山駅からバスの終点の室堂までの所用
時間は約70分。室堂の標高は2460mなので
立山駅からだいたい2000mくらい上がると
言うわけです。ちょっと耳がツーンって感じ。

写真は室堂までの間くらいか。バスの高さ
よりも遙かに高く雪が積もっていますがこれで
驚いてはいけません。(笑)


 9:10に室堂に到着し、このルートの一番の見所である雪の大谷を見に行こうか
迷っていたのですが、雪の大谷へ向かう人が行列を作っていたので帰りに見ることに
して、先へ進むことにしました。

 GW中は一年を通して一番賑わうような時期です。
朝早くから、富山県側と長野県側の両方からこの室堂目指して観光客が
どっと押し寄せて来るので逆に言うと朝のうちは室堂を出て富山県側、
長野県側の双方へ帰っていく方向への便はとても空いています。
私達は9:20に室堂を出発する大観望行きのトロリーバスに乗ったのですが、
上記の理由でとても空いていました。もちろん途中ですれ違う対向車は
満員。早起きは三文の得です。(笑)


写真は室堂から大観望へ向かうトロリーバス。
トロリーバスってご存じですか?
電車のように上に架線が張ってあり、そこから
電気を取ってモーターで走るバスです。
見た目はどう見てもバスなのですが、分類上は
「無軌道電車」と言う電車の扱いです。
ずっとトンネル区間であり、また自然保護の
ためもあって排気ガスが出ないトロリーバスが
走っています。

昔は全国各地でトロリーバスが走っていたの
ですが、今では全国で立山黒部アルペン
ルート内の2カ所だけになってしまいました。



大観望から先はロープウェイ。
このロープウェイ、途中に支柱が一本もない、
超ロングスパンロープウェイです。
亘長1700メートル。写真は大観望駅から
黒部平駅方向を見たところ。
2台のゴンドラが行き来しています。
所用時間は約7分。



大観望駅。
黒部平駅へ向かうロープウェイから後ろ方向を
向いて撮った写真。
こんな険しい山によくぞ立派な建造物を
作ったもんだと感心します。



ロープウェイで下ってきた駅が黒部平駅。
そこからさっきまでいた大観望方向を
向いて撮った写真。4月下旬とは思えない
ほどの一面の銀世界。
スキーで滑っている人もいました。もちろん
リフトなんてないので長時間かけて歩いて
登って、雄大な景色を眺めながらひとときの
滑走を楽しむ人達です。



ロープウェイを降りた黒部平駅から先は
ケーブルカー。
富山県の立山町から長野県の信濃大町までの
間、北アルプスをイッキに登ってイッキに下る
のでいろんな乗り物を乗りつぎます。
立山黒部アルペンルートのルートガイドは
ここをクリック。



ケーブルカーのトンネル。なんか写真じゃ
傾斜がよくわからないですね・・・



黒部平駅からケーブルカーで降りたところが
黒部湖駅。駅は山の地下にあるのですが、
5分ほど歩いてトンネルを抜けるとあの
有名な黒部ダムに出てきます。ずっと暗い
ところにいたので(**)/ マブシイッ!!

写真は黒部ダムの堰堤。



ケーブルカーの黒部湖駅から、扇沢方面の
トロリーバスの乗り場の黒部ダム駅までは
このダムをずっと歩いて渡って行きます。

写真の黒部湖、まだ凍っているのか湖面には
雪が積もっています。今の時期は湖面が
だいぶ低いようで。

アルペンルート開通前の3月に歩いてここを
横断した登山家もいるようで。
やってみたいなぁ・・・でも素人には無理ですね。



アーチ型のダム。雪が溶けた後は観光放水を
してくれて、晴れた日は虹がかかってとても
キレイなのですが、あいにく今は放水して
いません。堰堤の手すりからダムの下を見たら
ものすご〜く怖いです。(笑)落ちたら絶対
助からないでしょう。

ダムの向こう側が黒部湖駅。
こちら側が黒部ダム駅。両駅とも雪を避けて
山の内部に作られています。



ダムを見渡せる展望台へは黒部ダム駅
から階段を220段ほど上がって行きます。
(^。^;)フウ
私と子供達だけ先におりて、展望台の
上から写真を撮ってもらいました。(笑)
堰堤の角に赤い服を着たボン2号を抱えて
いるのが私、その左で手すりから頭だけ
出ているのがボン。



黒部ダム駅。
ここも地下に作られています。
私達の今日の目的地はここまで。
もう一回トロリーバスに乗ると、立山黒部
アルペンルートの長野側の起点の扇沢に
着くのですが、ここまでで十分堪能したので
ここで折り返しで来た道をまた立山駅へ
向かって戻っていったのでした。



黒部ダム駅の近くの素堀りの洞窟のような
ところで、黒部ダム建設のドキュメント映画が
上映されていました。
天井からポタポタ水が落ちてくるのでみなさん
合羽着用。(貸してくれます)
それと安全のためヘルメットも全員着用。
定員50人で無料なのですが、10人くらいしか
いなかったかな。



トンネルシアターで記念撮影。(^-^)

この立山黒部アルペンルートへ来て思った
のですが、小さい子供連れの人がとても
少なかったです。雄大な自然を見ても子供は
喜ばないからかなぁ・・・



黒部ダム駅から扇沢行きのトロリーバスです。
この区間もずっとトンネルなのですが、この
トンネル、大変な難工事だったようです。
もしここを通ることがあれば、トンネル工事の
歴史もちょっと勉強しましょう。



黒部湖駅から黒部湖沿いに歩道があったので
行ってみました。黒部ダムにはあんなにたくさん
人が居たのに、ちょっと外れるとまったくいなく
なってしまいます。ツアーの人が多いからかな。

これは黒部湖畔の「かんぱ橋」



アルペンルートが開通する前の3月に、
この左手にそびえる山をスキーを担いで
越えてきて、この凍結した黒部湖を
横断し、さらに右手の山も越えて富山県
側の人里まで行った人がいると聞いて
いたので、どんなところを越えて来た
んだろう・・・と興味津々で周囲を眺めて
いたのですが、私には絶対無理そう。(笑)

このページを作成している今日(5/1)
左手の山の向こう側の斜面で、雪崩に
遭ってスキー登山者2名が死亡しました。
積雪期の山はなかなか人を寄せ付けない
のです。



黒部湖側から見た黒部ダム。水面がとても
低いですね。これから夏にかけて雪解け水が
どんどん流れ込み、水量も豊かになってくる
と思われます。



黒部湖駅のトンネル通路にヘンナ物が
ありました。氷筍かな?

ここだけ天井から水滴がポタポタ落ちていた
のですが、それが凍ってこんなになった
ような気がします。



さっきまでの黒部湖からまたケーブルカー、
ロープウェイと乗り継いで戻ってきました。
これは大観望から室堂へ戻る途中の
トロリーバスのトンネル。
バス一台がやっと通れる非常に狭いトンネル
ですが、真ん中あたりにすれ違いができる
ように拡幅してあるところがあります。
GW中は繁忙期で、上り下りとも4台ずつバスが
走っていました。



朝方素通りした室堂に戻ってきました。
室堂ターミナルの様子。
写真の向こうの方へ歩いて行くと、
雪の大谷があります。



先ほどのターミナルから5分ほど歩くと
雪の大谷へ。
4月17日のアルペンルート開通時点で
積雪19mで、それ以降少しずつ溶けて来た
のですが、21日に3メートルほどイッキに
降ったようで
「今なら20m以上あるんじゃない?」
と言う現地スタッフの話でした。



昨年から今年にかけての冬は、例年に
比べてものすご〜く雪が多かったので、
雪の大谷もより一層迫力があります。
写真左はボン。足下ツルツルで
何回か転んでました。(笑)

いつもテレビのニュースで見ても思って
いたのですが、よくこんな上手に除雪
できるもんだなぁ・・・



バスの中からは雪の壁しか見えません。(笑)
いつも計画性なしで行動する私ですが、
これも前日に天気予報を見て
「明日晴れそうやからアルペンルートへ行こう」
ってことで決めたのでした。



雪の大谷、500メートルほどの区間を歩いて
観光できます。行ったところをまた折り返して
戻ってもいいですし、帰りは雪の中をずっと
歩いて行く迂回路もあります。
写真は迂回路から見た雪の大谷。
あまり前へ行って落ちたらケガじゃすまなさ
そうなので今日は控え目に。(笑)
いや〜 ほんとすごい雪だっ!!



室堂から大日岳方面(たぶん)を
望んだ写真。
スキーで滑ってみたいなぁ。



好天に恵まれたアルペンルート観光も
いよいよ終わりです。室堂から帰りのバスは
疲れてみんな熟睡。 (-_-)zzz
行きは立山駅から室堂まで直行バスでしたが、
帰りのバスは美女平まででそれより下は
ケーブルカーで下りていきます。
写真はケーブルカーの立山駅。
ここのケーブルカー、人がのる車両の他に
貨物車も連結して運行されているのが特徴。

さて、駐車場へ戻るとするか。


 下界はすっかり春ですが、山の春はまだまだと言う感じでした。
雪はこれからどんどん少なくなって行くのですが、8月でも一部には雪が残り、
万年雪となっています。今の時期も見応えありますが、夏も秋もすばらしい自然の
景観を堪能できます。カモシカや雷鳥に会える可能性も結構アリ。
上にも書きましたが、ホントによくこんな山奥にあれこれルートを開通させた
ものだなぁ・・・ 
大変な難工事で次々と現れる困難にも負けず、世紀の大工事を完遂させた当時の
人達に、私も建設業に従事している人間として、男の浪漫を感じていたのでした・・・


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