2008/04/21 IHコンロ導入

 今回はIHコンロ(IHレンジ)を自分で取付したお話です。

最近(2009年以降)ネット検索でこちらのページを見に来られる方が大変多いようです。自分でIHコンロを
導入しようと考えている方は、このページを一通り読まれた上で、どうぞご遠慮なく質問してください。

念のため・・・このページに書かれている電気工事をするには「電気工事士」の資格が必要です。

 話せば長くなるのですが、ROOKIE家は新婚当初、町営の4階建ての団地に住んでいました。その団地は
オール電化の建物でして、調理用のコンロもガスではなくて当然電気コンロ。しかし入居するに当たって
電気コンロは買い取りだと町役場の担当者から言われまして、しかたなく町が推薦する機種の電気コンロを
購入。5万5千円くらいしたかな・・・高っ!! 

 その後一戸建ての住宅を購入して引越してきたのが今の家です。この家の台所には元々ビルトインの
ガスコンロが付いていたのですが、団地で使っていた電気コンロは自分でお金を出して買ったものなので、
引き払う時に置いていくのももったいなく、貧乏人のセコイ根性で(笑)電気コンロも持ってきました。
今の家、ガスを使う器具はガスコンロだけだったので、このガスコンロを電気コンロに変更すればガスは一切
必要なくなると。
電気・ガス併用しているよりも電気一本に絞った方が圧倒的に光熱費が安くなるので迷わずガスの契約を解除し、
ビルトインのガスコンロを撤去して強引に団地で使っていた電気コンロを置いたのでした。(;^_^A アセアセ

ROOKIEから一言。
 電気は高いと言うイメージがあるかもしれませんが、近年のIHコンロや蓄熱暖房、また電気温水器などは
非常に効率がよく、ガス・電気併用よりもオール電化にした方が圧倒的に光熱費は安くなります。
また、料理を作る際の火力もガスよりもIHコンロの方がかなり強いです。IHコンロは火がまったく見えないので
火力が弱そうにも思えますが、同じ鍋で同じ量のお湯を沸かしてみれば、その差歴然・一目瞭然でわかります。
「オール電化の家って停電したら終わりやん」と言う声もたまに聞きますが、日本の電力事情は世界一安定
しており、実際年間を通して停電することなどめったになく、仮に停電しても数秒もしないウチに復旧する場合が
ほとんどです。また、阪神大震災の時のインフラの復旧においても一番最初に復旧したのは電気で、水道・ガスの
復旧には長期間を要したことなどからしても、電気に対する信頼度は高いモノと考えられます。

これから家を建てようと思われる方は是非オール電化をお薦めします。(^_^)
ただ、現在ガスを使用している人がオール電化にしても、機器類の購入や工事費にかなり費用がかかり、
光熱費が安くなったとしても元を取れるほどにはならないと思うので、費用面だけを考えれば
あくまでも新築やリフォームするついでに・・・と言うことです。



 据え置き型の旧式の電気コンロをビルトイン
タイプのガスコンロだったキッチンに無理矢理
置いて使っていたので、鍋やフライパンがすごい
高い位置になってしまっていたのでした。

ウチの嫁さん、ここへ引っ越してきて以来9年間、
こんな状態の台所で毎日頑張って料理作って
くれてまして、ありがたや。m(._.)m ペコッ
コンロの下の鍋やフライパンを置くスペースに
電気コンロ専用の200ボルトコンセントがあります。
このコンセント、この家へ引っ越して来てガス
コンロから電気コンロへ変更する時に電気屋さんに
頼んで工事してもらったのでした。
当時は私、電気屋さんじゃなかったもので。

右から延びているネジってある管はガス管です。
今は使っていません。



 ウチの分電盤。 これはどこの家も似たような
作りだと思います。
一番左の ”50A” と書いてあるのが電力会社
との契約ブレーカー。この容量で月々の電気代の
基本料金が変わってきます。
1人暮らしのアパートなら20〜30A(アンペア)くらい、
普通に家族4人とかで住んでいそうなマンションや
一戸建てのおうちなら40A〜50Aくらい。
オール電化の家だと50A〜60Aくらいが妥当な
所でしょうか。
この契約ブレーカーの容量変更は電力会社に
申請すれば無料でしてもらえるので、もし必要
以上に大きいと思うようでしたらワンランク下の
物に変更してもらうといいかもしれません。
逆にしょっちゅうこの契約ブレーカーが落ちる
ようでしたら大きい物に変更してもらうと良いです。

ちなみに50Aまでは基本料金が少しずつ上がって
きますが、60Aになるとイッキに高くなります。(笑)


分電盤のカバーを外した写真。     
50Aと書いてあるのが電力会社との契約ブレーカー。その右となりにあるのが
漏電ブレーカー。この2つを通って各部屋への子ブレーカーへとつながって行きます。

写真のように赤・白・黒の3色が入っている場合は100ボルトと200ボルトの両方を
この分電盤から取ることができます。

白い線には電圧がかかっておらず、つまり触っても感電しません。でも、
漏電ブレーカーが漏電を感知して停電してしまうので、触らないでください。

黒と白の2本から電気を取ると100ボルト。
赤と白の2本から電気を取っても100ボルト。
これはどちらでも同じ100ボルトなので普通の電化製品なら大丈夫です。
そして黒と赤の2本から電気を取ると200ボルトになります。

右の方に11個並んでいる各部屋への回路分けの子ブレーカー、
上段の5個は黒と白から取っているのですべて100ボルト。
下段の一番右端以外の5個は赤と白から取っているのでこちらも100ボルト。
下段右端の1個だけ赤と黒から取っているので200ボルト。この回路が
台所に来て電気コンロ用のコンセントになっています。


横に3本並んでいる銅バー、上が黒相、下が赤相、
真ん中が白相です。

非常に近接して銅バーが並んでいますが、手で
触ったり、工具で接触しようもんなら火を吹いて
溶けてしまい、分電盤丸ごと交換しなければならなく
なってしまうので、絶対に短絡させないように気を
つけてください。
心配な方は家中停電してしまいますが、左の主幹
ブレーカーを先に落としてから作業してください。
そうすれば電気が止まってしまっているので事故の
心配はありません。(^_^)

上段のブレーカーは黒相と白相から、下段の
ブレーカーは赤相と白相から拾っているのが
わかるでしょうか?


 今度新しく導入するIHコンロ、電圧は以前の物と同じ200ボルトなのですが、最大消費電力が
大きく、今のコンセントにつながっている電線では細くて容量が足りません。
そこで電線を太い物に交換する必要が出てきました。

一般的に屋内配線に使用されている電線はVVFケーブルと言われる電線。
太さも何種類かあるのですが、アース線は別に引くとして、とりあえずプラス・マイナスで
2本の電線が必要ですが、電線の定格を見ると

  2.0mm 2芯・・・許容電流23A (アンペア)
  2.6mm 2芯・・・許容電流32A

となっています。さて、中学校の理科のおさらい・・・(笑)

P=IEと言う式を覚えていますか?
P(出力:単位ワット) = I(電流:単位アンペア) × E(電圧:単位ボルト)です。

ここでウチの新しいIHコンロの最大消費電力は5.8kW=5800W
この消費電力に耐えうる電線を決めるためには、IHコンロを全開で使用した場合、最大で
どれだけの電流が流れるかを求める必要があります。

P=IEを変換して
I=P/E
 =5800(ワット)/200(ボルト)
 =29(A)

以上のことから、新しいIHコンロを安心して使うためには許容電流が29A以上ある
直径2.6mmの電線が必要になると。

一般的に、住宅で使用されている電線は、直径1.6mmのものが多く、大きくても2.0mmです。
IHコンロは最大出力で使用した場合、2.0mmの電線でも容量不足で、電線が発熱し、最悪の
場合は火事になってしまうので、かならず直径が2.6mmか、あるいは断面積が5.5mu以上の
電線を、IHコンロの専用回路として配線してください。

エアコンが200V回線だからそこから分岐してIHコンロに持って行けばいいや・・・
なんてのは絶対に止めてくださいね。


 分電盤はたいてい天井に近い、高い位置に
付いているので、電線は天井から分電盤に配線
されている場合が多いです。そこで分電盤付近の
天井裏を調べてみました。
一戸建ての家の場合、お風呂場か押入のどちらかに
大抵は天井へ上がれる点検口がついています。
ウチはお風呂場から天井裏へ・・・
 ウチの分電盤付近の天井裏。つまり1階と2階の
間です。ウチは2階にもトイレや洗面所があるので
2階からも上水や排水の配管が降りてきてます。
写真真ん中に1本だけ見える電線が、分電盤から
台所までつながっている200ボルトコンセント回路
の電線。この線を太い物に抜き替えると。



 分電盤付近は天井裏に電線が通っていましたが、
すぐに壁に入って今度は床下に電線が伸びて
いました。そこで床下に潜って電線がどこを通って
いるのかチェック。 これも一戸建てのおうちなら
大抵は台所の床下収納から床下に潜れます。
そうでない場合でも押入などに床下に入る点検口が
あるはず。
 電線の通り道はわかったのですが、天井裏から
床下へ落ちてきている部分がかなり狭い所を
通らないと行けないところでした。(*_*)
私もまだケガから回復していないのもあって、
ここは小柄で身軽なウチのボンが大活躍。
狭い床下をどんどん進んで、電線の曲がっている
点にて待機。



 これが新しく通す電線。
VVFケーブルと呼ばれる線種で、直径2.6mmの線が
3本まとまっているケーブルです。
 電線の断面はごらんの通り。
3本ある線の1本1本の直径が2.6mmあります。
通常の家庭内配線は1.6mmか太くても2.0mmで、
今回のように2.6mmの電線はほぼIHコンロ専用です。
通常は2本を電源、1本をアースに使ったりするの
ですが、ウチはアースは別に線を引いてあるので、
今回は白線は使わず封印し、に黒と赤だけを使うこと
にしました。



 IH導入のために今回購入した電材。
30Aのブレーカーと、30A・200V用のコンセント。
以前も200Vでしたが、電流が大きいので、コンセント
も専用の物になります。

同じ200ボルト用でも、負荷容量によって3種類
くらいコンセントの形状があるので、これから
導入しようとしているIHコンロのコンセントがどんな
形をしているか事前に調べておく必要があります。

最大消費電力が4000W以上のものなら大抵は
上記写真のコンセントだと思います。
 ブレーカーを交換しているROOKIE。
まだコルセットしてます。(笑)
この作業をしている時にウチのボンが

ボン:「すご〜い、お父さんプロの人みたい」
嫁さん:「ホンマやなぁ、本職みたいやん」

って・・・( ̄□ ̄;)!!
あのぅ・・・私、これが本職なんですけど・・・(;^_^A



 分電盤の下段一番右にあった200V回路の
ブレーカー。既設は20Aブレーカーだったので、
これを外して交換です。

赤いシールで220Vと貼ってありますが、この形状
のブレーカー(配線用遮断機)には100V専用と、
100V・200V兼用があるので気をつけてください。
100V専用のブレーカーは2本つながっている線
のうち、片方だけをオン・オフする内部構造で、
100V・200V兼用のモノは2本の線の両方とも
いっぺんにオン・オフします。

ブレーカーの規格としては
「安全ブレーカー 30A 2P2E」と言うのに交換します。
 外した所へ新しく30Aのブレーカーを取付ました。
左側のブレーカーは黒と白の線がつながってますが、
この右端のブレーカーだけ白はつながっておらず、
赤と黒の2本がつながってますよね。これが200Vです。

写真の右から2番目のブレーカーの下の方に
LとNの文字が書かれていますが、Nはニュートラル
のことで必ず白線をつなぎます。Lはラインのことで
赤線または黒線をつなぎます。このL・Nの文字が
書かれているブレーカーは100V専用のブレーカーで、
L側だけがオン・オフできる構造で、ブレーカーの
スイッチをオフにしてもN側は常時つながっています。
今回交換した100V・200V兼用のブレーカーは両方
がいっぺんにオン・オフされるので、どちらのどの色の
線をつないでもよく、LやNの文字が書かれていません



 台所のコンロ下のコンセント交換前。
同じ200Vでも20A用と30A用ではプラグの
形状が違うんです。

台所へのコンセント設置は、コンロの下の
鍋などを置くスペースの床面にドリルで穴を
開けます。ステンレス板と家の床の木材と
2枚貫通させる必要があるので、ちょっと
眺めのキリが必要かな。
 コンセント交換後

ドリルで穴を開けた所は、切り口が鋭くて
電線を傷つけやすいので、写真のように
塩ビパイプを貫通部分に通して電線を保護します。



 古いコンロを撤去し、コンセントも交換を終え、
後はIHコンロをセットするだけと。
 一般的なシステムキッチン、規格が決まって
いまして、ビルトインタイプのコンロはメーカー
問わず、大抵はフィットします。ウチも何の加工も
せず、最初にガスコンロが入っていたスペースに
そのまま新しいIHコンロが入りました。



無事にスイッチが入りました。\(^o^)/ 
早速試運転。お湯が沸く速さに驚愕っ!!
w(゜o゜)wワオ!! 
視覚的にもキレイで見やすいです。(^_^)
 200V回路の電線とブレーカーの交換も無事に
終わり、分電盤にカバーをして今回の工事終了。



 新婚当初、町営団地に入居した時から今日まで
11年間、ROOKIE家の食事を支えてくれた電気
コンロもこれでお役ご免です。
長い間お世話になり、ありがとうございました。
これまでの活躍、お疲れさまでした。


 今回購入したIHコンロ、各メーカーのいろんな機種について、性能や使い勝手、特徴や
マイナス面などを1年ほどかけて徹底的に調べ上げ、以前から欲しかった三菱の機種を
定価の8割引で購入。もちろん新品です。(^_^)V ピース。
据え付けや電気配線工事も自分でやったので、思っていたよりも安くできたかな。(^_^)


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